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胸張って、自信を持って、自慢の商品やサービスを世界で売ろう! 目指すのは、“おまけしないニッポン”
日本流行部のキャッチコピーは、地域を日本で流行らせよう、日本を世界に流行らせよう!です。
このコーナーは、日本流行部代表の平舘が日本を輝かせるヒト、モノ、コトにフォーカスし、取材レポートする企画です。今回、オープニングにふさわしいクールジャパン機構の太田社長に、ご登場いただきました!
皆さん、クールジャパンって耳にしたことありますよね?どのような取り組みなのかを説明できますか?
なんとなくしか知らなかった人も、仕事で実際に近いことを行っている方も、とても勉強になるお話をお伺いできたので、ぜひ、皆さん最後までおつきあいください。
◆分かりやすく言うとクールジャパンとは何でしょうか?
ものすごい主観的な話で漫画、キャラクターグッズがそうだという方もいれば、伝統文化だという人もいます。まず、線引きが誰にもできない、ここまでがクールジャパンというものはありません。
日本のかっこいいを、日本のおいしいを、日本の優れたものを、美意識と技をもって世界に伝え、日本のイメージを上げていこうという民間の企業の人たち、もしくは、個人の活動を総称しクールジャパン事業だと思っています。
僕たちはそういう事業に、日本政府と民間企業から集めた資金を投資し応援しています。ただ、これは、助成金ではない、あくまでも投資です。リターンがなければならないので、投資対象は、様々な条件をもって審査をしています。
クールジャパンて何ですか?っていうのを、単純に言うなら、「日本のかっこいいを伝える」ってことだと思いますね。海外で伝えたり、売ることもあれば、その効果で、日本に来てくれる外国の人が増えて、その方々にさらに日本の良さを伝える、時間を買ってもらう、ものを買ってもらう、それがクールジャパン事業だと思っています。
◆クールジャパン機構の社長に就任されたご経緯はどんなことだったのでしょうか?
僕が、イッセイミヤケの社長をやっていた小泉首相の時代に、当時はクールジャパンとは呼ばなかったんですが、コンテンツ戦略会議がスタートしました。テレビ局の社長、映画会社の社長、音楽会社の人、出版社の人、漫画家の人、シェフ、そして我々ファッション系の人が集まり、国としてこれから、ソフトの分野をどう育てていって、国際的なビジネスを生んでいくかっていう議論が始まったのです。そこで、僕が、たまたま委員をしていたっていうことだと思います。
イッセイミヤケで社長業を10年やらせてもらったけど、社長は孤独な立場なので、あまり長くやるのは体に良くないですよ(笑)だから、10年でスパッと辞めて、松屋の常務になりました。好きな仕事をマイペースにできる環境がよかったので、クールジャパン社長就任のお話をいただいたときは、また社長をやるのか、と思って最初はお断りしたんですけどね(笑)
僕は今まで、投資なんて全く興味がなかった。投資したこともなかったし、考えたこともなかった。
けれど、ビジネスとして海外に物を売るとか、もしくは物を入れてもらうとかの交渉はずっとやってきた。その過程で、自分なりに、国際ビジネスをやるコツって言うのを身に付けたと思っていて、今の仕事につながっていったのかなと思っています。
それが何かと言うと、“おまけしないニッポン”です。
◆今までは、おまけをしてしまうニッポンだったんですか?
おまけをしてしまう、お人好しニッポンですよ。
それでは、ダメ。クールジャパン事業として出資するときに、いつも投資先の皆さんに言っているのは、妥協しないこと。海外に対して、胸張って自分たちのものが優れているんだって、つくっているコンテンツがかっこいいんだってことをきちんと説明することだと言っています。仮に、高いよなって言われても、訳があって高いんですってことを言えばいいんです。それをもう少し下げましょうか、なんてやるから日本は相当儲け損なってきた。
◆他国は違うんですか?
外国の方なんて金額交渉するときにケンカする手前までいきますよ。椅子蹴っ飛ばして出ていくくらい(笑)
◆日本は弱気なんですね。でも、そこは、日本人の奥ゆかしさだったりするんですかね?
奥ゆかしいところは、日本人のいいところだし、他国に比べれば、喧嘩したがらない国民性ですからね。金額交渉の場なんかでも、相手の立場になって考えてみようとするところは、西洋人とは違うところですね。だけど、それがいいんですか?って言ったら、僕は、それは間違っていると思っている。
◆もっと強気で交渉しろということでしょうか?
そうです。
昨日、たまたま長野県の方にお話ししてきたのですけど、信州ではりんごが採れますよね。けれど、ASEAN諸国は、暖かいから、りんごが採れない。だからそれらの国では、高く売ってもいいわけですよ。我々が昔、一桁高くてもメロンを買っていたように、彼らにとってりんごは自分たちの国では採れないから特別なものなので、一桁高いんですよ。その中でも、とびきり高いのが日本のりんごなんです。
どれくらいするんですか?
1個1500円とか。でも、富裕層は平気で買いますよ。それを、日本人は、「1500円だと高いかな?」なんて言われると、ちょっと待ってくださいって1200円くらいにはできるかなと計算してしまう。1200円にしたって、1500円にしたって、買う対象が決まっている場合は、売れる数は一緒。安くしなくてもいいんですよ。
タイのバンコクなんかでは、日本のりんご、アメリカのりんご、カナダのりんご、ニュージ―ランドのりんごが並んでいるけど、日本のりんご以外は、みんな小さくて、いかにも酸っぱくて、硬そうです。
日本のりんごが一番おいしそうな顔をしている。高くて文句あるのかって言えばいいんです。(笑)
メロンだってピンからキリまであるでしょ。スーパーで売っているものから、高級果物店で売っている桐箱入りのものまで。それぞれに顧客層や用途が違いますよね。
だから、売る前に考えて欲しい。どこをターゲットにするんですか?どこを攻めるんですか?って。
マーケティングってよく言うけど、本当のマーケティングって日本にあるのか?とも、しばしば思います。
どこを攻めるのかということが大事なことです。
調査だけがマーケティングじゃない。戦略立ててこそマーケティングなんです。
現在、マレーシアで伊勢丹全館をクールジャパンの館にしてオープンするための準備をしていますが、普通に考えたら、マレーシアにはイスラム教徒が多いので「ハラール対応するんですか?」と聞かれますが、ハラール対応ばかり考えなくていいんですよ。
誰がそこに来るのかを考えると、きっと中華系の人たちになると思うんです。
だから、とにかくとびきり旨いとんかつ屋をやったらどうかって言っています。マレーシアの中でも、中華系で豚肉を食べている舌の肥えた富裕層向けに、思いっきり旨いとんかつを食べさせるくらいでなくては、出店しても勝ち目はない。そういう考え方をして下さいと言っています。
◆クールジャパン機構では、どんな事業に投資を決めるのでしょうか?
こんな事業をやりたいと持ち込まれた案件が、僕たちから見てとってもクールジャパン的だよなってところがあり、かつ旛を振っている人が情熱的であることが大事です。
一番、だめなのは、誰が事業の旗を振っているかがわからないことですね。これは一番危ない。あとは、本当に普及させる情熱があるのか?ってことが大事だと思っています。
16軒の小さなレストラン事業者さんが集まっているシンガポールのジャパンフードタウンに投資していますが、そこだけは、マジョリティ投資をしています。
なぜかというと、自分の本業はさておいて、自分が中心になってやってもいい、移り住んでもいいという事業者さんがいたから、この人に賭けてみました。彼のコンセプトは、本邦初、もしくはシンガポール初のレストランを持っていくことでした。旗を振っている人が明確で、内容が明らかにピッカピカの日の丸だったんです。
そのように出資という形で世界に作っているプラットフォームに、海外で成功する可能性のあるものを我々自身が日本各地から掘り起こして届けてあげるようなこともしています。
伊勢丹のマレーシアもそうなんですよ。我々は伊勢丹に10億円を出資しているだけなんて思っていないですから。これは、日本各地の小さな会社を世界に出ていかせるための僕たちの陣地だって思っています。だから10億円を出資しているのであり、お互いに協力し合って、出店企業を見つけてきたり、ベストをやるために組んでいるジョイントベンチャーなんです。だからバリバリ口も出します(笑)。向こうも期待しているし、我々もそのつもりでやっている。それはもう本当に紳士協定なんですよ。
◆日本では、評価がイマイチだったのに、海外では評価が高いとか、そういうものはありますか?
ファッションでは、イッセイミヤケやヨウジヤマモト、コムデギャルソンなんかもそうだったけど、世界で認められた後に、日本国内で、「あのブランド世界で人気があるらしいよ」って広まっていく例はたくさんあります。日本酒の獺祭もそうですよね。
残念ながら、日本には、新しいものに直感的にビビッってきて、パッと人気になるような文化がないんですよ。
海外で評価されてから、日本で花が開くっていうのが、今までのパターン。残念ながら、その傾向は、しばらく続きそうだと思います。
◆日本では、何かや誰かのお墨付きがないと、っていう感じですよね。
そうですね。あの人がいいって言った、あの国で売れている、人気があるって聞いて初めて行列ができたりします。例えば、伊勢丹に入っているあのチョコレート屋さんに行列ができていて人気らしいよ、なんて聞くと、うちにも行列ができるかもと全国の百貨店がやろうと押し寄せる。
自分の目に、フィルターに自信がないから、誰かがお墨付きを与えたら、うちもやろうというのは多いですね。それは日本の残念なところ。自信のなさですよね。
◆じゃあ、逆に獺祭みたいに、最初、地域で苦戦したり、首都圏進出のハードルが高かったりするような場合は、思い切って違うやり方を選択し、海外に出てやってみたほうが成功できる可能性があるっていうことですよね。
そうですね。日本とは逆で、海外のお客様は、みんなが知らないものを自分は飲んでいる、食べている、買っているっていう、彼らの自尊心をくすぐる状態にする。それが口コミで広がったら、強い。
今はブログなんかで地球の裏からも情報発信できるような世の中なので、メジャーになれるチャンスが地球のど真ん中にいなくてもありますからね。地方の企業にとっては、逆にチャンスがあるってことになりますね。
◆この日本流行部は、北海道流行部から沖縄流行部まであって、それぞれの代表が地域情報を発信していくのですが、ある意味では地域対抗のライバルであり、またある意味では、みんなで日本を盛り上げていく仲間なんです。関わるメンバー共々これから頑張っていこうと思っていますが、何かコメントいただけますか?
連携と競争がセットにあるのは、とてもいいと思いますね。
シンガポールのジャパンフードタウンもそうだけど、日本から出店している企業同士は、ある意味行列を競い合うライバルなんだけど、お米は、みんな金芽米を使っていたり、松坂牛を1頭買ってきて、みんなで使っていたり、連携するところと、張り合うところ、両方持っているから価値があると思っています。
仲良しこよしで同じ船に乗っているだけじゃダメ。
切磋琢磨しながら、工夫をして互いに磨いていかないと。
僕らは、船に乗っけるまでのお手伝いはします。プラットフォームをつくり、これに乗っていってみてくださいと。ただ、その先は、船に乗る人たちが努力をしないと。なるべく長くサポートはしますけれど、慈善事業じゃないから、各自結果を出すべく努力をしていかないと。
クールジャパンなんて基本的には感性の問題だから、かっこよくなかったら売れないんですよ。
物はクールジャパン、サービスはクールジャパン、そして姿勢としてもクールに売ってほしい。
クールに売るってことは、おまけしないってこと。
おまけしないってことは、妥協しないってこと。
誇りを持って、自分たちの商品やサービスを海外に売っていってほしいと思っています。
太田社長のご著書「クールジャパンとは何か?」 ディスカバー携書 1,080円
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■クールジャパン機構(株式会社海外需要開拓支援機構)